ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜の非破壊分析

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ユーザーベネフィット

- 赤外ラマン顕微鏡AIRsightは、赤外顕微鏡では分析できない炭素材料の分析が可能です。 - カーブフィット機能を使用することで、DLC膜の結晶性や水素濃度など、様々な視点から膜質を評価できます。

はじめに

ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜は、炭素や炭化水素からなる非晶質(アモルファス)硬質膜であり、sp2結合を持つグラファイトとsp3結合を持つダイヤモンドの中間に位置した材料です。DLC膜は複数の優れた特長を持つため、身の回りのあらゆる製品に利用されています。例えば、優れた耐摩耗性、低摩擦特性から、切削工具の刃先や軸受の表面に成膜されています。また、ガスバリア性に優れることから、酸化しやすい飲料の容器内面にも使用されています。幅広く応用されているDLC膜は、使用用途に応じて、炭素の結合状態や膜中の水素濃度を調整し、膜質を変化させています。一方で、結合状態や水素濃度は膜質のばらつきの原因にもなるため、生産時や受入時にそれらを測定し、管理することが重要です。 ラマン分光法は、炭素材料の結合や構造を感度良くとらえることから、DLC膜の品質管理の手段として用いられます。他のDLC膜の分析手法であるX 線光電子分光法(X-ray Photoelectron Spectroscopy:XPS)と比較して、測定の準備も簡単で、試料を損傷する危険性も少なく非破壊で測定できる特長があります。XPSによるDLC膜の分析事例については、Application News No. K78をご覧ください。 赤外顕微鏡とラマン顕微鏡が一体となった当社赤外ラマン顕微鏡AIRsightは、炭素材料を始めとする様々な部品・材料の分析に1台で対応できます。AIRsightを使用することで、赤外分光法とラマン分光法それぞれの分析法における得手不得手を補い合うだけでなく、同一試料に対して両方の分析法で測定し、精度の高い定性分析を実現することも可能です。また、AIRsightは顕微システムであるため、外観の不良箇所や目的の部位に対して、微小部をピンポイント測定することができます。 今回はシリコンウェハに成膜したDLC膜について、赤外ラマン顕微鏡AIRsightのラマン測定機能を用いて分析した事例をご紹介します。

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