SALDシリーズにおける光強度分布の直接的利用(3)-微量微小粒子の存在の判定-

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はじめに

レーザ回折式粒度分布測定装置は測定対象粒子群にレーザ光を照射し,そこから発せられる散乱光強度分布を測定して,それを演算によって粒度分布に変換する方法です。粒子一個当たりの散乱光強度は粒子径の 4 乗から 5 乗に比例するため,例えば粒子径が 10 倍の粒子からの散乱光強度は,1 万倍から 10 万倍強いことになります。実際の測定装置では,微粒子領域からの散乱光に相当する高角度の散乱光については,検出器の面積を大きくするなどの工夫がされてはいますが,現実には,粒度分布の微粒領域に存在する微量粒子の量を正確に測定するのは困難な場合があります。 このような場合でも,1 次情報である散乱光強度分布情報の上には,わずかながら微量粒子の存在を反映していることは多いので,散乱光強度分布そのものによって直接的に比較し,試料間の差異を明かにすることが可能なケースもあります。島津レーザ回折式粒度分布測定装置 SALD シリーズは,最終的な測定結果である粒度分布だけでなく,散乱光強度分布もそのまま保存されており,いつでもそのデータを見ることができますから,直接的かつ容易に散乱光強度分布で粒度分布の比較をすることができます。 今回,具体的な試料として,異なる粒度分布を持った 2 種類のアルミナ粉体を,量的な比率を変えて混合し,上に述べたことを実験的に確認いたしました。その結果をご報告いたします。測定装置としては SALD-2100 を使用しました。

2021.03.28

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