島津分光蛍光光度計RF-5000によるトリプシンの分析

ダウンロード

はじめに

トリプシンは膵臓から分泌されるタンパク質加水分解酵素の1つで,不活性のトリプシノーゲンとして分泌され,腸内に存在するトリプシン,エンテロペプチダーゼの作用で活性化されてトリプシンとなります。その働きは腸内における食物タンパク質の消化のほか,キモトリプシノーゲンなどの他の酵素前駆体の活性化などです。また,エンドペプチダーゼでもあり,ペプチド結合の加水分解を触媒する際に厳密な基質特異性をもつため,タンパク質のアミノ酸配列決定を目的とするポリペプチド鎖断片化に不可欠な道具として利用されています。類似した特異性をもつプロテアーゼは哺乳類以外にもザリガニ,ヒトデ,放線菌,カイコなど広範囲の生物に存在し,カイコのものはサナギが羽化に際して繭をやぶる働きをしておりコクナーゼとよばれます。また高等動物の血液凝固や線溶,炎症などに関与するトロンビン,プラスミン,カリクレインなどのプロテアーゼもトリプシンと密接な関連をもつことが知られています。

2015.12.31