島津分光蛍光光度計RF-5000形による補正励起および補正蛍光スペクトルの測定
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はじめに
蛍光光度法は感度が著しく高いことや選択性がすぐれているなどの特長があり,広い分野で活用されています。ところで,通常の分光蛍光光度計は励起および蛍光スペクトルを測定するために,励起用分光器と蛍光用分光器を有していますが,このような装置によって測定される励起および蛍光スペクトルは,装置の分光特性によって左右される見かけのスペクトルで,未補正の励起および蛍光スペクトルです。定量分析の場合にはスペクトルの全体の形状に依存しないのでこのような状態で問題はありませんが,真のスペクトルの形状やピークの位置を得るためには,装置の分光特性を補正しなければなりません。このような補正処理を施して得られるスペクトルは補正励起および補正蛍光スペクトルと呼ばれ,この場合装置間のスペクトルの比較が容易になるばかりでなく,さらに多くの知見が得られます。補正励起スペクトルは吸光係数に比例するので,吸収スペクトルでは測定できないような非常に低濃度の蛍光物質の吸収スペクトルが得られ,また,補正蛍光スペクトルから蛍光の発光機構についてより多くの知見を与える量子収率の測定が可能となり,蛍光光度法の応用性が広がります。 ここでは,島津分光蛍光光度計RF-5000を使用して測定した補正励起および補正蛍光スペクトルの測定例を紹介します。
2021.03.28