
電気・電子
フタル酸エステルはポリ塩化ビニル(PVC)などのプラスチック製品の可塑剤として使用されますが、人体への内分泌攪乱作用などが懸念されます。改正RoHS指令(RoHS2.0)では、従来のRoHS6物質(鉛、水銀、カドミウム、六価クロム、PBB、PBDE)に加え、図1に示す4種類のフタル酸エステルが規制対象物質に追加されました。 RoHS2.0は、医療機器および監視・制御機器を除く全ての電気・電子機器を対象とし、4種類のフタル酸エステルの最大許容含有量は0.1 %(1000 ppm)です。そのためRoHS指令に対応した分析では、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)が一般的に使用されます。 しかし、軟質PVCなどには高濃度のフタル酸エステルが含まれているものがあり、それをGC-MSで分析すると使用するカラムに過大な負荷を課す可能性があります。フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR)は前処理不要かつ短時間(約1分間)でスペクトル測定ができるため、試料中のフタル酸エステルのプレスクリーニングに適しています。FTIRで高濃度のフタル酸エステルを含む試料を予めプレスクリーニングできれば、GC-MS分析のキャリーオーバー(高濃度の分析成分が、次回以降の分析に持ち越しされること)を低減できるため、効率的に分析を行えます。 ここでは、効率的なGC-MS分析を行うためのFTIRを用いたPVC製品中フタル酸エステルのプレスクリーニング分析をご紹介します。
2019.10.02