
KRATOS ULTRA2 (英国名AXIS Supra+)
XPS(X線光電子分光法:X-ray Photoelectron Spectroscopy)は、物質表面約10 nmに存在する元素の定性・定量分析に加え、化学結合状態の分析が可能な表面分析手法です。この手法は、触媒研究分野において、触媒に含まれる元素の状態解析に広く利用されています。特に、熱処理やガス反応による元素の化学結合状態変化を解析することは、触媒反応メカニズムを解明する上で大きな役割を担います。触媒の反応実験後に、試料を大気中に取り出して分析装置へ移送する場合、大気との反応により試料の表面状態が変化する可能性があります。移送中に表面の化学状態が変化すると、反応実験直後の表面状態を観察することは不可能です。 移送中に試料が大気と反応することを避けるために利用されるオプションが、エアセンシティブサンプルトランスポーターです。これは、グローブボックスなどの中で調整した試料を希ガスで封じ込んだ状態で移送し、大気に暴露することなくXPS装置に移送するためのものです。 本稿では、実験チャンバー内で還元処理を施した触媒試料を、サンプルトランスポーターを使用して、大気に暴露することなくXPS装置に導入して測定した例を紹介します。また、比較のために、処理後に大気暴露してから測定したデータも併せて示します。
2021.01.19
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