
石油化学
樹脂成形品のうち、発泡剤を添加して加熱成形することで、多孔質構造をもったものを発泡プラスチックと呼びます。発泡プラスチックは内部に多数の空伱を含むことから軽量で、断熱性や緩衝性にも優れています。一方で、発泡プラスチックは多数の空伱を含むため、未発泡のものに比べて密度が小さくなり強度が低下します。 断熱性を付加しつつ軽さと強度を保つために、発泡プラスチックの中に補強材として繊維を加える製法があります。加える繊維にはガラス繊維や炭素繊維などが使用されますが、生物由来の高機能新素材であるセルロースナノファイバー(以下、CNF)を補強材として用いる研究も進められています。CNF は植物細胞壁の主成分であるセルロースをナノレベルにまで微細化したもので、鉄の 1/5 の軽さで 5 倍以上の強度という高い比強度を有しています。製造コストの高さが実用化に向けての課題ですが、炭素繊維に続く新たな繊維材料として注目されています。 本稿では、マイクロフォーカス X 線 CT システム inspeXioSMX-100CTを用いて、補強材として CNF を含有した発泡プラスチックの内部構造を観察した事例を紹介します。
2019.08.29