トリプル四重極質量分析計を用いた抗体医薬品の新しい品質管理指標に関する研究

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はじめに

一般的な生物は、タンパク質合成時に材料としてL型とD型アミノ酸分子のうちL型のアミノ酸のみを選択します。それに準じ、生体を構成するタンパク質はL型のアミノ酸が鎖状に連結されたものとなります。その一方で、一旦合成されたタンパク質中のアスパラギン酸残基(以下、Asp)が、加齢に応じてD型のAspへと変化することが報告されています。これら『Asp異性化』は非酵素的、部位特異的および時間依存的に進行する、いわばタンパク質内部特有の加齢現象と言えます。Asp異性化によりタンパク質構造が変化するため、それに応じた機能の変化や安定性の低下などが予想されます。すなわち、時間軸に沿ったAsp異性化の定量的評価は、それを含むタンパク質の新しい品質管理指標として利用できる可能性があります。

2022.03.27