
石油化学
リチウムイオン 2 次電池(本報では以下単に「リチウムイオン電池」と記載します)は,高いエネルギー密度を有し,かつセル電圧が高いことから携帯電話・情報機器などの電源として幅広く使用されています。近年は,環境保全に対する意識の高まりを背景にハイブリッド自動車や電気自動車の開発が加速していますが,それらの電力系統にもリチウムイオン電池は欠かすことができません。更に自然エネルギー利用(太陽光や風力発電)分野でも,電力需要への弾力的な対応のために大容量の 2 次電池が要求されるようになってきました。 しかし一方で,リチウムイオン電池は短絡や過充放電,衝撃などの外力によって不安定となることもあり,そのため安全性確保に対する様々な検討や対策が電池を構成する部品レベルでもなされています。 本アプリケーションニュースでは,上記のように応用に拡がりが期待できるリチウムイオン電池の構成部品の1 つであるセパレータについて,物性評価例としていくつかの試みを紹介いたします。セパレータは正負電極間の短絡を防止すると同時にリチウムイオンをスムースに通過させる役割を担うものですが,一方では電池短絡などによる発熱時には電流を遮断する機能も併せ持っています。現在一般的なセパレータ材料はポリオレフィン(PE)微多孔質フィルムが採用され,高温になると材料の融点近くで孔構造が閉塞しイオンの通過を阻止するシャットダウン機構が働きます。
2010.07.12