
Hyper Vision HPV-X2
炭素繊維強化プラスチッ ク(Carbon Fiber ReinforcedPlastic:CFRP)は,複合材料の中でも特に比強度に優れており,軽量化による燃費向上を目的に,航空機や一部の輸送機で使用されています。優れた機械特性を持つ複合材料ですが,材料内に損傷が発生すると,その損傷を起点に瞬時に破壊が進行する脆性的な破壊挙動を示すことが知られています。そのため,CFRP の開発において,材料試験だけでなく,強度の弱い箇所の破壊を確認するために破壊観察も行われています。また,最近では CAE 解析の妥当性を評価するためにも破壊観察が行われています。上述したように CFRPの破壊現象は非常に速く,目視での確認は不可能であり,観察には高速度ビデオカメラが使用されます。当社でも過去にアプリケーションニュース(No. V17 高速引張試験におけるCFRP の破壊観察)を発行しています。高速引張試験は試験時間が一瞬であるため,照明に瞬間的に強い光を発するストロボを使用でき,撮影速度を 100 万コマ /sec 以上に上げることができました。しかし,静的試験においては試験時間が長く,光源に連続光であるメタルハライドランプ(ストロボと比較すると弱い光源)を使用するため,50 万コマ /sec以上の撮影では光量不足となっていました。今回新たに開発された HPV-X2 は従来機 HPV-X の 6 倍以上の感度を有するため,メタルハライドランプを用いても100 万コマ /sec 以上の撮影が可能となりました。今回は一方向 CFRP の静的試験における破壊観察を行った例をご紹介します。
2021.07.30
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