
MCTシリーズ
近年、再生医療の治療応用に向けて、様々な研究機関や企業により精力的な研究が行われています。所望の細胞や組織を体外で培養した後に移植を行う事でケガや病気を治療する再生医療は、現状の医療では治療が困難とされる疾患を改善できる可能性があり、期待を集めています。2014 年にヒトiPS 細胞を用いた世界初の臨床研究として網膜色素上皮細胞の移植が実施されました。これを皮切りに培養神経細胞、培養軟骨細胞、培養心筋細胞シートなどの臨床試験が実施されており、再生医療が研究の段階から臨床応用の段階へ移行しつつあることを示しています。一方で、このような臨床応用に至るにはいくつかの問題があり、その中で重要なものの一つとして、移植に用いる培養細胞・組織の品質管理技術の確立があります。現状では、熟練者による良否判定に頼らざるを得ない部分があり、今後の再生医療の普及に向けて培養細胞・組織の様々な特性を定量的に評価する品質管理方法が求められています。 本報では、そのような特性の定量評価の一例として、培養組織のモデルである細胞塊の硬さに相当するものとして変形強度を測定した事例を紹介します。島津製作所微小圧縮試験機MCT™は微小なサンプルの圧縮試験に適しており、柔軟な試料である細胞塊にも適応可能です。一般に細胞や組織は脆弱であり、試験機を用いた力学的な定量評価を行うことが困難とされていますが、MCT の高精度な変位検出と試験力測定により、変形強度について定量的な評価を実現します。高精度な試験機を用いた定量評価により、再生医療の普及への一助となることが期待されます。
2020.10.19
一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。