繊維強化樹脂の曲げ特性における温度依存性評価

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はじめに

セルロースは植物の細胞壁及び繊維の主成分で、地球上で最も多く存在する炭水化物であり、古くから紙や綿の原料として利用されてきました。近年、セルロースをナノレベルまで解繊し、機能性を向上させたセルロースナノファイバー(CNF)が注目されています。CNF は“鉄鋼の 5 倍の強度で1/5 の軽さ”、“透明性”、“低熱膨張と耐熱性”、“ガスバリア性”、“増粘性とチキソ性”などの性質を有し、さらに植物由来の材料であるため環境負荷が低いことから、炭素繊維に続く新素材として関心を集めています。 特に輸送機分野では樹脂と複合し自動車の車体へ適用することで、軽量化による CO2 の効果的な削減が期待できますが、自動車の使用環境を考慮すると室温だけでなく、低温から高温までの幅広い温度領域での材料特性を明らかにする必要があります。 本稿では、ナイロン 6(PA6)を CNF、ガラス繊維(GF)それぞれで強化した材料に対し、曲げ試験を行い曲げ強度、曲げ弾性率の温度依存性を評価しました。

2020.09.03