
石油化学
鉄鋼は,様々な工業製品や日用品など,あらゆる分野で使用されている最も代表的な材料のひとつです。鉄鋼材料はその種類も多く,どの元素がどのくらい含まれるかによって強度や耐熱性,耐食性などの性質が変化するため,成分の工程管理や品質管理がとても重要になります。含有元素の濃度範囲も,材料や元素の種類によりppm~数十%と広範囲となり,分析装置としては,高感度かつワイドレンジな能力が要求されます。今回,島津マルチタイプICP発光分光分析装置ICPE-9000を用いて鉄鋼標準物質の測定を行いましたのでご紹介します。ICPE-9000は,CCDを検出器に用いたマルチタイプのICP-AESです。高感度な軸方向観測を標準装備,更にオプションで横方向観測を選択することで,リンや硫黄などの微量元素から,ステンレス鋼中のニッケルやクロムなどの高濃度元素までを一斉分析することができます。また,低合金鋼とステンレス鋼のように,同一元素で濃度が大きく異なる場合でも,ひとつのバッチで同時分析することが可能です。
2009.04.04