ライフサイエンス
MultiNAを用いたゲノム編集による数塩基変異の検出
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はじめに
ゲノム編集技術の登場で、標的遺伝子に対して、特異的に遺伝子を破壊したり、導入することが容易にできるようになりました。 ゲノム編集結果の確認にはオンターゲットに対する変異の有無を確認することが必要です。直接配列を解析する方法が一番確実ですが、多検体での検証を行う場合にはコストがかかります。簡易的な方法として、野生型と変異型とのヘテロ二本鎖を電気泳動にて分析し、ホモ二本鎖とヘテロ二本鎖の移動度の差を利用した確認方法があります(ヘテロ二本鎖移動度解析:HMA 法)。この方法は全自動電気泳動装置を利用することで手軽にゲノム編集結果を確認できるツールとして普及しています。 しかしながら、HMA は数塩基(1~5 bp)の違いではホモ二本鎖とヘテロ二本鎖の立体構造による移動度の差が相殺されて編集の有無を確認できない場合があります。このような場合に利用できるのが T7 Endonuclease1 や Cel1 と呼ばれる酵素を利用する方法です。これらの酵素は二本鎖DNA のミスマッチを認識し、切断する活性があります。数塩基のミスマッチも認識できるとされており HMA などでは検出できない変異に有効だとされています。ここでは T7Endonuclease1 によるミスマッチの切断をマイクロチップ電気泳動装置により簡便迅速に検出する分析例を紹介します。
2020.03.23