LCMS-2020
LCMS-2020 を用いた修飾PTH - システインの測定
はじめに
タンパク質の構造には,4つの階層があります。一次構造はアミノ酸配列,二次構造は部分的にみられる立体構造(αへリックス構造,βシート構造など),さらに三次構造は,1つの分子内の三次元構造になります。四次構造は,いくつかのポリペプチド,タンパク質の複合体を形成します。分子内のシステインによるジスルフィド(S-S)結合により分子内架橋からつくられる立体構造もその一つです。このジスルフィド結合は,そのタンパク質の立体構造を安定化させる働きがあります。そのためタンパク質の構造解析においてアミノ酸配列分析でシステインを同定することは重要な情報となります。 システイン残基は,立体構造を安定化させるため,通常S-S結合を形成している場合が多く,その結果N末端側の半シスチン残基は,エドマン分解によりATZ(Anilinothiazolinone)-半シスチンに変換されてもC末端側の半シスチンとジスルフィド結合をしています。その結果,HPLCで検出することができません。そのため,タンパク質の還元アルキル化により,ジスルフィド結合を切断してから配列分析,PTH(Phenylthiohydantoin)- 修飾システインとして同定することが一般的です。 プロテインシーケンサでは,還元アルキル化の種類によってHPLCでの同定が困難な場合があるため,使用できる還元アルキル化の方法を制限されることがありました。一方,MSでは,PTH-アミノ酸の質量の測定を行うことによって,アルキル化法に依存することなく同定が可能となります。 本稿では,エドマン分解で得られたPTH-修飾システイン(還元アルキル化されたシステインのフェニルチオヒダントイン誘導体)をLCMS-2020を用いて同定を行った例をご紹介します。
2021.04.28
関連製品
一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。