TOC-L と TNM-Lによるワクチン中のタンパク質評価を目的とした全窒素(TN)測定

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はじめに

バイオ医薬品中のタンパク質量を評価するための有力な分析手法として、全窒素測定法があります。ここでは、Serum Institute of India Pvt.Ltd.社(Pune,India)が製造するワクチンの測定例を紹介します。窒素はタンパク質の構成単位であるアミノ酸の基本要素です。窒素の測定は医薬品や食品、飲料、植物などに含まれるタンパク質やその代謝の評価に広く用いられてきました。一般的に、窒素は硝酸塩(NO3-)や亜硝酸塩(NO2-)、アンモニウム(NH4+)などの有機体あるいは無機体の形で存在しています。ワクチンの製造では製造サイクルの開始時及び中間点、終了時において抗原量を制御する必要があり、この抗原量の分析には弱毒化あるいは不活性化されたウイルスや細菌を用います。この抗原は通常はタンパク質から成るので、総タンパク質の定量が重要です。ジフテリア及び破傷風トキソイドは、百日咳抗原と組み合わせて混合DTPワクチンとして用いられます。このワクチンを子供が接種することで、ジフテリア及び破傷風、百日咳に対する免疫がつくられます。従来、タンパク質中の窒素量推定にはケルダール法が用いられてきました。しかし、この方法には異なるアミノ酸配列を持つタンパク質ごとに別々のタンパク質換算係数が必要であることや、時間がかかる、労力を伴うなどの欠点があります。また、高温の濃硫酸の使用は危険で、注意が必要です。本稿では、熱分解‐化学発光法により全窒素(TN)を迅速かつ効率よく測定して有機および無機窒素の評価を行い、その測定結果をケルダール法と比較しました。

2019.12.23

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