LCMS-IT-TOFによる加工食品中農薬の スクリーニング分析

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はじめに

平成18年5月29日,一定の量を超えて農薬,飼料添加物および動物用医薬品が残留する食品の販売などを禁止するポジティブリスト制度が施行されました。これに伴い約800種の農薬等に残留基準が設定され,食品などの事業者には従来にも増して使用する原材料の生産段階における農薬などの情報収集に努め,適切に管理されたものを使用することが求められるようになりました。  また,昨今,輸入野菜や加工食品の残留農薬が問題になっていますが,日本の食料自給率が年々低下し,日々の食材の多くを輸入品に頼らざるを得ないことから,輸出入の現場で多くの農薬等をより簡単な方法で迅速に分析することが求められています。 ここではLCMS-IT-TOFを用いて,平成20年3月7日付厚生労働省事務連絡にて示されたメタミドホス,ジクロルボスなど有機リン系農薬を加工食品抽出物に添加して分析した例をご紹介します。LCMS-IT-TOFは100ミリ秒でポジティブ/ネガティブ切替をしながら,μg/Lレベルでのスキャン測定ができますので,1回の測定で得た精密質量でのMSnスペクトルから未知の農薬の定性を行うことが可能です。100μg/L相当の有機リン系農薬を冷凍ギョーザ抽出物に添加した時のマスクロマトグラムを示しました。

2008.07.27