LC-MSによるサルファ剤9成分の一斉分析
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はじめに
サルファ剤は畜水産物の生産性向上のために飼料添加物,動物用医薬品として使用されている合成抗菌剤です。平成18年5月29日施行のポジティブリスト制度では,畜水産食品に関して0.02~0.1 mg/kgの基準値が設定され,定量限界として0.01 mg/kgが求められています。従来,HPLCによる検査が行われていましたが,最近,LC-MSによる分析も行われるようになってきました。今回は,サルファ剤9成分の一斉分析例をご紹介します。サルファ剤は,エレクトロスプレーイオン化法(ESI法)の正イオンモードでプロトン化分子[M+H]+がベースピークとして検出されます。これらプロトン化分子をSIM選択イオンとしたサルファ剤9成分混合標準液(各成分濃度0.01 mg/L)のSIMクロマトグラムを示します。 9成分が12分以内で溶出し,充分な感度が得られています。SDD(ピーク3)は同位体がSMPD(ピーク4)と同じ質量であり,この2つの成分は分離が必要です。移動相の有機溶媒にメタノールを使用することで,この2つの成分は分離することができます。標準液は市販の食品分析用混合標準液を用い,希釈調製は35%メタノール水で行いました。
2008.07.27