LC-MSによる有機フッ素化合物(PFOA,PFOS)の分析
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はじめに
ペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)は,直鎖状に並んだ7個と8個の炭素にフッ素原子が結合し,末端にカルボキシル基とスルホン酸基を有した有機フッ素化合物です。これらは親水性官能基および疎水性のアルキル側鎖を有するため,水と油どちらにも溶けやすいという性質を持っています。 そのような性質を利用して,PFOA,PFOSやその類縁物質は,界面活性剤,撥水剤,防水剤などで多くの工業製品に使用されてきました。しかし,炭素原子とフッ素原子の結合は非常に強く安定な化合物であることから,近年,地球全体の規模で人体,野生動物に蓄積,環境中に残留していることが様々な研究でわかってきました。生物学的な毒性はまだ完全には解明されていませんが,新しい残留性有機汚染物質として注目されています。 ここでは,代表的なPFOA とPFOSのLC-MSによる同時分析をご紹介します。PFOAおよびPFOSの負イオンESIマススペクトルを示します。m/z 413 および499に各々の脱プロトン分子が観察されます。Fig.2には標準品の全イオンおよびマスクロマトグラムを示します。
2008.01.16