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はじめに

生体を構成する主要成分のひとつであるタンパク質は,生体内でアミノ酸より合成され,抗体・酵素・ホルモン・受容体・生体構造の保持など,体内で重要な役割を果たしています。産業界におけるタンパク質の利用例は,摂取による食品栄養学的利用以外にも,洗剤用酵素,治療用医薬品など多岐にわたり,増加傾向にあります。 近年,医薬品としてのタンパク質製剤は,生体からの精製品から組換え技術を用いた製品に移行しており,インシュリン,インターフェロン,エリスロポエチンなどが上市されています。品質管理の観点から,組換えタンパク質の発現確認は重要な工程であり,ペプチドシークエンサーによるアミノ酸配列分析や,簡便な方法としてHPLCによるペプチドマッピング,MALDI-TOFMSによるマスマッピング等が適用されています。 本アプリケーションニュースでは,四重極型質量分析計LCMS-2010EVを用い,ウマ心筋ミオグロビンをモデル試料とした,LC-MSによるタンパク質の分析およびペプチドマスマッピング例をご紹介します。 Fig.1にミオグロビンの正イオンエレクトロスプレーイオン化(ESI)マススペクトルを示します。シリンジポンプを用いて,精製タンパク質(5 %酢酸水,50 %メタノール溶液)のインフュージョン分析を行いました。m/z 700-2000の範囲で,9~21価の多価イオンが検出されています。

2007.07.16