LC/MSによるフラーレンの分析
はじめに
フラーレン(C60)は5員環と6員環からなる構造が提案されて以来,注目されてきました。内部に金属をドープした場合,大きな導電率を示したり,高い超伝導性を示すことが明らかになり,最近では半導体材料や超伝導材料,他に新プラスチックといった新素材としての応用が期待されています。 フラーレンの分析にはMALDI-TOFMSが有効であることが知られています。Fig.2に島津/Kratos AXIMA-CFRを用いて得られたフラーレン混合物のマススペクトルを示します。C60, C70, C78, C84について,レーザーイオン化によって生じたポジティブイオンが検出されました。 LC/MS測定においては,成分毎の分離を行うので,カラムが重要な役割を果たすことになります。フラーレン分析専用カラム Develosil RPFULLERENE(野村化学製)を用いた場合と市販ODSカラムを用いた場合のクロマトグラムの比較をFig.3に示します。試料はC60,C70混合物(各200ng)としました。また,移動相として,A : 2-propanol,B : toluene/2-propanol = 90/10の混合溶媒を用いました。(1)と(3)は同一移動相での比較です。RPFULLERENEはC30(トリアコンチル基)が導入されており,成分の保持が強くなります。また,(1)と(2)はほぼ同一保持時間での比較です。RPFULLERENEを用いた場合はピーク形状が良好であり,C60のシンメトリー係数が1.16であるのに対し,ODSの場合(2)は1.23でした。
2001.10.24