SEC-MALDIシステムによる合成高分子中の微量成分の解析(1)

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はじめに

合成高分子のキャラクタリゼーション手法としてMALDI-TOFMSが広く用いられています。しかし,多種の成分が混在する場合には成分相互のイオン化抑制効果のために主成分だけが検出され,微量成分は全く検出されないという問題がありました。これを避けるためには,多成分試料を前もって液体クロマトグラフィー(LC)などで成分ごとに分離分画しておき,各々のフラクションをMALDI-TOFMSで測定するというLC-MALDI手法が有効です。しかしながら,多数のフラクションに対してMALDI測定用のマトリックス試薬およびカチオン化試薬を添加し,さらにMALDIサンプルプレートに搭載するのは手間と時間を要し現実的ではありません。これらの問題を解決するため弊社では,LCからの溶出液をマトリックス等の試薬と混合して順次MALDIサンプルプレートに搭載する自動スポッティング装置 AccuSpotを開発しました。これによってLC分離からMALDI-TOFMS測定までを簡便にかつ一貫して処理できる自動分析システムの構築が可能になりました。 ここでは,複雑な組成をもつ二元コポリマーpoly(methylmethacrylate-b-n-butylmethacrylate)(poly(MMAb-n-BMA))をモデル試料とし,試料中に存在していた微量なホモポリマー成分を検出した例を示します。LC分離にはサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)モードを用い,全ての成分を無駄なくMALDIサンプルプレートに搭載するためにミクロスケールの分離カラムを採用しました。なお,AccuSpotは合成高分子分野で多用される有機溶媒に対して耐性を高めた仕様の機体を用いました。

2008.07.27