MALDI-8020
卓上型MALDI-TOF MSを用いたインソース分解(ISD)による酸化ペプチドの解析
はじめに
MALDI-TOFMS は、ペプチドまたはタンパク質の分子量および一次構造に関する情報を得るための、迅速かつ簡便な方法です。現在様々な断片化方法がある中で、タンパク質の配列を得るために、“Top-down”プロテオミクスとしてインソース分解(ISD)が用いられています。ISD では、水素ラジカル移動を利用して c-および z-フラグメントイオン系列を生成することができます。ポストソース分解(PSD)に対する ISD の利点の 1 つは、理論的には試料の質量による制限がないため、酵素消化せずに直接大きなタンパク質のシーケンシングが可能であることです。MALDI-ISD ワークフローの概要を図 1 に示します。 製薬業界では、バイオ関連医薬品開発において、失活や毒性など治療に影響する可能性をモニターするため、品質管理プロセスの一環として、製剤処方あるいは劣化などによる変化を追跡することが重要になっています。分解を伴って起こりうる修飾のひとつの例として、ペプチドまたはタンパク質のメチオニン残基の酸化が挙げられます。このメチオニンは他のアミノ酸に比べ非常に酸化しやすいことが知られています。 ここでは、卓上型 MALDI-TOFMS である MALDI-8020 による Top-down 配列解析により Exendin-4 ペプチドのメチオニン酸化(Met-O)部位を決定した例をご紹介します。この方法は、バイオ関連医薬品の QC において、生産プロセスにおける望ましくない変化を特定する有用な方法と言うことができます。
2018.03.18
関連製品
一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。