核酸医薬品の合成確認-MALDI-TOF MS による迅速簡易配列確認-

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はじめに

遺伝情報の担い手である DNA や RNA のような核酸を医薬品として利用したものを「核酸医薬品」と呼びます。この核酸医薬品は、従来の低分子医薬品や抗体医薬品では対象と出来ない mRNA(messengerRNA)や microRNA をターゲットとすることが可能なため、これまで治療が困難であった遺伝性疾患などに対する次世代の革新的治療薬として期待されています。 核酸医薬品には、mRNA に結合してタンパク合成を制御する機能を持つ siRNA や microRNA の機能補強のためのmiRNA などから、タンパク質に結合することでタンパク質の機能を阻害するアプタマー、さらにリボザイムのように標的 RNA を直接切断する機能をもつものなど様々な種類がありますが、その基本的な構造は、DNA や RNA を構成するアデニン、チミン、グアニン、シトシン、ウラシルといった(デオキシ)ヌクレオチドが数十個繋がった鎖状になっています。 この核酸医薬品は、抗体医薬品のように培養細胞などで合成する必要は無く、化学合成を行うことが可能ですが、得られる分子は質量が数千~数万の中程度の大きさの分子となります。合成した核酸医薬品が、想定した塩基配列を正しく踏襲しているのか否かを確認することは、医薬品の機能を担保する上で重要な品質特性となります。 本稿では、合成核酸の分子量確認と塩基配列確認をMADLI-TOF MS で実施した例を報告します。

2017.08.29

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