高分解能MALDI-TOF MS “MALDI-7090” を用いたモノクローナル抗体のN- 末端アミノ酸配列解析

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はじめに

抗体などのバイオ医薬品開発では,ときとしてタンパク質の N- 末端や C- 末端に不均一性が生じることが知られています。末端のアミノ酸が脱離していたり,あるいは修飾されていたりする場合があり,このような構造の変化を把握することはバイオ医薬品の品質を維持するうえでとても重要です。通常,タンパク質のアミノ酸配列を決定する際には,最も信頼性の高いエドマン分解法を活用したプロテインシーケンサーを用いて,N- 末端からアミノ酸を 1 つずつ決定してゆくという方法を用いますが,N- 末端のアミノ基(αアミノ基)が修飾されている場合には,この方法を用いた解析が行えません。そのため,代替法として質量分析による配列解析が必要となる場合があります。アミノ酸には質量が似通ったものや,まったく同じものが存在しているため,質量分析でアミノ酸配列解析を行おうとした場合には,分解能の高い MS/MSが実施できる質量分析計を用いる必要があります。 ここでは,当社の高分解能 MALDI-TOF MS ”MALDI-7090”を用いた抗体分子の N- 末端アミノ酸配列解析をご紹介します。

2015.06.30