ライフサイエンス
前処理不要・15秒で出来る血清中シアンのスクリーニング分析
はじめに
近年、様々な法薬毒物を用いた犯罪や中毒事件が増加傾向にあり、使用される薬物の種類が多様化していることから社会的な問題となっています。法医学・法中毒学さらに救命救急の領域では原因物質の検索・同定が課題となっており、迅速かつ高感度な分析手法の確立が求められています。また、それらの現場においては前処理の煩雑さや装置操作の難度、分析にかかる時間などをより簡便かつ迅速に行いたいという要求が高まっています。とりわけ、血液中の特定成分の分析についてはこれまでも様々な分析装置が用いられてきましたが、血中から対象成分を抽出するなど煩雑な前処理を必要とすることが多く、より手間と時間を低減させたスクリーニング手法が求められています。 PESI(Probe Electro Spray Ionization)は超極細で低侵襲な探針が試料をサンプリングし、かつ針先に高電圧を付与することにより、サンプリングした対象成分をイオン化させる直接イオン化法であり、クロマトグラフを介さずに試料の分析が可能です。 PESI を質量分析計と組み合わせた探針エレクトロスプレーイオン化質量分析計 DPiMS-2020 を用いることで、液体,固体に関わらず、試料の分析対象成分を前処理なく迅速に分析することが可能となり、簡便なスクリーニング分析に適しています。本アプリケーションニュースでは、DPiMS-2020 と InSource CID を活用した、血清中シアンの前処理不要な迅速スクリーニング分析法についてご紹介します。
2021.03.28