AXIMA PerformanceTM
LC-MALDIシステムによる微量タンパク質の解析(2)カルボニル化タンパク質の解析
はじめに
二次元電気泳動~AXIMA MALDI-TOFMSシステムを用いて,虚血再潅流を行ったサル海馬CA1領域に存在するカルボニル化タンパク質の解析を行いました。 活性酸素(ROS) は日本人の死因のトップを占めるガン,心臓病,脳卒中をはじめ,糖尿病や動脈硬化といった生活習慣病など多くの病気に悪影響を与えることが知られています。活性酸素には過酸化水素やスーパーオキサイドアニオンラジカル,ハイドロキシラジカルなどが知られていますが,これらの分子種はいずれも生体内で核酸や脂質,タンパク質などに非生理的な翻訳後修飾を引き起こします。 酸化傷害タンパク質の中でも,カルボニル化タンパク質は酸化傷害タンパク質のマーカーとして用いられています。カルボニル化はタンパク質を構成するアミノ酸のうちアルギニンやリジンなどの側鎖にアルデヒド基が生じることで形成されます。 一過性脳虚血において海馬CA1領域では選択的な神経細胞死が起こり、記憶障害に至ることが示唆されています。 今回,一過性脳虚血後の海馬CA1領域サンプルを用いて二次元電気泳動後にカルボニル化タンパク質と思われるスポットを切り出し,LC-MALDIにより解析を行った結果,細胞死抑制機能を有するHeat shock-70kDa protein1(Hsp70-1)の469番目のアルギニンがカルボニル化していることを確認しました。
2009.12.17
関連製品
一部の製品は新しいモデルにアップデートされている場合があります。