AXIMA PerformanceTM
LC-MALDIシステムによる微量タンパク質の解析(1)凍結組織切片を用いた微量サンプルの解析
はじめに
二次元電気泳動システムとレーザーマイクロダイセクション(LMD:Laser Microdissection)による凍結組織切片を用いたプロテオーム解析を行いました。 二次元電気泳動は定量性・再現性に優れ,今もなおプロテオミクスでは最も普及している解析法です。一度の泳動で数1000種類のタンパク質が確認できること,結果をデータベース化できること,初期投資が小額であることなど多くの利点があります。さらにデータベースが整備され,質量分析が進歩したことでタンパク質同定は圧倒的に簡単になりました。 LMDは,レーザー光を利用して,組織切片上の目的の細胞のみを光学顕微鏡下で1つずつ取り出す技術です。癌組織のプロテオーム解析を行う場合,これまでの研究手法では,癌組織中には癌細胞しか含まれないことを前提として解析するか,肉眼レベルで検体から癌組織と非癌部組織を分離して解析することしかできませんでした。このような解析精度の実験では,対象外の細胞由来のタンパク質が含まれるため解析結果に誤差が生じ,タンパク質発現のコントラストが低下すると予想されます。 LMDを用いる事により混在した組織標本から均一な細胞集団を単離できるので,その細胞に特異的な遺伝子およびタンパク質の発現を解析できるという利点があります。たくさんの細胞を回収することは難しいですが,蛍光色素(SYPRO Rubyなど)を用いてごく少量の細胞からでも二次元電気泳動を行うことができ,さらにタンパク質のリン酸化部位まで同定できることを示しました。 今回はサンプルとしてヒト舌組織をLMD により正常粘膜上皮と口腔扁平上皮癌を単離したものを用いました。
2009.12.17
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