SEC-MALDIシステムによる合成高分子中の微量成分の解析(2)-高分子添加剤の分析-

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はじめに

高分子材料は光,熱,機械的要因,電気的要因,放射線,薬品,水分などの様々な要因で劣化します。この劣化を防ぐために酸化防止剤,紫外線吸収剤,HALS(HinderedAmine Light Stabilizer),熱安定剤など多くの添加剤が開発され,高分子材料がもつ特性を維持するために使用されています。添加量は高分子材料の使用目的に応じてそれぞれ異なりますが,一般的には約1 %(w/w)以下の極微量で添加されています。また,同じ高分子材料であってもグレードやメーカーにより,添加剤の種類は異なります。従って,高分子材料中の添加剤を分析することは各種高分子材料の性能調査や改良をおこなう上で非常に重要となります。近年,高分子材料中の添加剤分析にMALDI-TOFMSが用いられています。しかし,多種の成分が混在する場合には成分相互のイオン化抑制効果のために主成分だけが検出され,添加剤のような微量成分は全く検出されないことがあります。これを避けるためには,多成分試料を前もってサイズ排除クロマトグラフ(SEC)で成分ごとに分離分画しておき,各々のフラクションをMALDI-TOFMSで測定するというSEC-MALDI手法が有効です。我々はSECからの溶出液をマトリックス等の試薬と混合して順次MALDIサンプルプレートに搭載する自動スポッティング装置AccuSpotを開発し,SEC分離からMALDI-TOFMS測定までを簡便にかつ一貫して処理できるSEC-MALDIシステムを構築しました。なお,AccuSpotは合成高分子分野で多用される有機溶媒に対して耐性を高めた仕様の機体を用いました。 ここでは,市販のアクリル板から添加剤を検出した例についてご紹介します。

2009.07.29

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