AXIMA PerformanceTM
MALDI-TOFMSによるリン酸化解析(3)TiO2によるリン酸化ペプチドの濃縮
はじめに
タンパク質のリン酸化は生体機能の制御に重要な翻訳後修飾の一つです。近年,リン酸化部位の解析に質量分析が適用されていますが,通常,リン酸化の割合は低く,かつ,リン酸化によりイオン化効率が著しく低下するため,混合物のまま解析するのが困難なケースが多く見られます。ここ数年,IMAC (Immobilized Metal Affinity Chelate),や二酸化チタン(TiO2)を用いたリン酸化ペプチド特異的な濃縮方法が研究されて,リン酸化研究に大きな成果をもたらしてきました。ここでは, TiO2を用いたリン酸化ペプチドの濃縮とMALDI-MS/MS (seamless PSD)を組み合わせたリン酸化解析について説明します。 TiO2は原理でリン酸基と親和性を示します。混合物中のリン酸化ペプチドをTiO2でトラップした後,アルカリ性の溶媒で洗浄することにより,リン酸化ペプチドを濃縮することが可能です。しかし一方で,TiO2は酸性アミノ酸とある程度の親和性を示すため,いかにして酸性アミノ酸を有する非リン酸化ペプチドの吸着を排除するかが処理のポイントとなります。そのために,高濃度の酸と高濃度の有機溶媒(アセトニトリル)が必要となります。 リン酸化ペプチドが特異的に濃縮され,脱塩処理だけでは検出できなかったリン酸化ペプチド(m/z 1660)も観測されました。
2008.10.25
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