AXIMA PerformanceTM
MALDI-TOFMSによるリン酸化解析(1)リン酸化ペプチドの検出に適した測定モードと マトリックスの選択
はじめに
タンパク質の翻訳後修飾の一つであるリン酸化は生体中の重要な機能に関与しています。近年,このリン酸化の解析に質量分析が適用され,様々な成果が報告されてきましたが,ほとんどはエレクトロスプレーイオン化法(ESI)をベースとした装置構成です。一方でMALDI法は汎用性・簡便性を有しているにもかかわらず,リン酸化解析に関する測定ノウハウはあまり知られていません。ここでは,基本となるリン酸化ペプチドの検出方法について示します。 通常のペプチド測定では,より高い分解能と精度を求めてリフレクトロンモードで測定しますが,このモードではリン酸化ペプチドからリン酸基が脱離したニュートラルロスと呼ばれる現象により,本来観測したいリン酸化ペプチドのシグナルが検出されにくくなります。一般にこのような不安定な化合物は,まずリニアモードで測定します。Fig.1に示すように,リニアモードではリン酸化ペプチドに相当するシグナルのみが観測されました。また,リフレクトロンモードでも,マトリックスとしてDHBを用いると比較的ニュートラルロスが抑制されたスペクトルが得られました。 他方,ニュートラルロスはリン酸化の有無を判定するために用いることができます。リフレクトロンモードとリニアモード,あるいはDHBとCHCAの比較により,ニュートラルロスを見出すことができれば,そのペプチドはリン酸化されている可能性が高いと言えます。
2008.10.25
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