SialoCapper™-ID Kit
SARS-CoV-2受容体ACE2 のN-結合型糖鎖解析 〜SialoCapper-ID Kitを⽤いたシアル酸結合様式判別〜
ユーザーベネフィット
- ウイルスの感染性に深い関係を持つシアル酸結合様式を簡単に評価できます。 - LC分離やシアリダーゼ処理を行うことなく、質量分析のみから簡便にシアル酸結合様式が判別できます。 - 簡単な前処理でシアル酸を修飾安定化でき、シアリル糖鎖と中性糖鎖を同時に測定できます。
はじめに
糖鎖の非還元末端に存在するシアル酸にはα2,3-やα2,6-の結合様式異性体が存在し、ウイルスの感染性に関係する例も知られています。例えば、インフルエンザウイルスはシアル酸に結合して体内に侵入しますが、ヒト型はα2,6-シアル酸、トリ型はα2,3-シアル酸に優先的に結合します。ヒトの上気道粘膜細胞にはα2,6-シアル酸が多く、トリ型ウイルスは結合しません。糖鎖解析はウイルスの感染機序を明確化するため、ひいては治療薬開発の観点からも非常に重要です。 近年パンデミックを引き起こしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の原因である重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、アンジオテンシン変換酵素Ⅱ(ACE2)を宿主細胞受容体として利用します。他のウイルス同様にシアル酸の結合様式も感染に関わっている可能性が高く、ACE2の糖鎖解析が進められています1)。 本稿では、ACE2 のN-結合型糖鎖をMALDI-TOF-MSで解析した例をご紹介します。シアル酸結合異性体判別用安定化試薬キット“SialoCapper-ID Kit”を用いて誘導体化することで、シアル酸結合様式も判別しました。
2021.04.12
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