SialoCapper-ID Kitを用いたマウス蝸牛由来N-結合型糖鎖のシアル酸結合様式判別

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ユーザーベネフィット

- シアル酸結合様式のはっきりした標品を用意する必要がなく、複雑な糖鎖のシアル酸結合様式も判別できます。 - ラベル化糖鎖にも適用でき、従来の糖鎖分析フローを変えることなく、追加分析としても行えます。 - LC分離が必須ではなく、MALDI-MSのMS1測定のみから簡便かつ迅速にシアル酸結合様式が判別できます。

はじめに

シアル酸は、主に糖鎖の非還元末端に存在する糖のファミリー名で、N-アセチルノイラミン酸(NeuAc)やN-グリコリルノイラミン酸(NeuGc)といった単糖が含まれます。シアル酸には主にα2,3-/α2,6-といった結合様式が存在し、この結合様式の違いはウイルス感染やがんなど様々な疾患との関わりも指摘されており、生物学的に極めて重要です。 近年、糖鎖の解析には質量分析(MS)が広く利用されるようになってきました。二種の異なる分離モードのHPLC保持時間情報を用いる二次元HPLC解析にMS情報を加えた構造解析法は、糖鎖構造を決定する強力なツールとして用いられています。しかしながら、シアル酸を多く含むような複雑な糖鎖のシアル酸結合様式の判別は未だ困難な場合があります。 本稿では、二次元HPLCとLC-MSで糖鎖構造を決定したPA化糖鎖を、さらにシアル酸結合異性体判別用安定化試薬キット“SialoCapper-ID Kit”を用いて誘導体化し、MALDITOF質量分析計で分析することでシアル酸の結合様式を判別した例1)をご紹介します。

2021.04.13