トリプル四重極質量分析計によるヒト血漿中の胆汁酸プロファイリング

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はじめに

胆汁酸はコレステロールの異化作用により肝臓で生成され、タウリンやグリシンと抱合することによって一次胆汁酸へと合成されます。また、腸内細菌の影響により一部の一次胆汁酸から二次胆汁酸が生成されます。これらの胆汁酸は界面活性剤として脂質の吸収を促進することや、代謝経路を制限する役割を担っています。 肝疾患の早期診断や機能評価のために、血中の酵素活性検査(ALT、AST など)や総胆汁酸量検査が広く行われています。しかし、総胆汁酸量の評価で肝機能の低下を確認することは可能ですが、疾患の特定には他の検査が必要です。したがって、胆汁酸代謝異常をはじめとする各疾患の特定を合わせて行うために、総胆汁酸量のみならず、一次胆汁酸を中心に各種胆汁酸の一⻫分析が求められています。 胆汁酸は化合物の構造上、トリプル四重極質量分析計でフラグメントイオンを生成することが難しいものが多く、また正確な定性・定量を行うためには最適な LC 条件を用いて完全に分離する必要があります。したがって、正確な同定と定量には良好なクロマトグラフィー分離が必要です。 ここでは、28 種類の胆汁酸と 10 種類の内部標準に対して、液体クロマトグラフィーとトリプル四重極質量分析の条件を最適化した「LC/MS/MS メソッドパッケージ 胆汁酸」を用いてヒト血漿を分析した事例をご紹介します。

2021.02.15