環境
上水試験方法(2001年度版)に対応したイソシアヌル酸、陰イオン界面活性剤の分析
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はじめに
より安全に,快適に生活するために欠かせない水道水について,その各種成分の分析方法が上水試験方法に定められています。イソシアヌル酸は,この上水試験方法の改訂(2001年度)に伴い,新たに取り上げられた物質で,一般的にプールの消毒薬剤として使用されています。また,海外の紛争地域における難民キャンプでは,飲料水の消毒にも用いられている物質です。 一方,界面活性剤は,表面張力を低下させる性質のほかに,浸透性,湿潤性,乳化性,気泡性,分散性,懸濁性など多くの特異的な性質があり,一般家庭用以外にも,繊維,製紙,金属,化粧品,医薬品,食品工業,土木建築業など多くの産業分野で利用されています。この内,陰イオン界面活性剤は,家庭雑排水が下水処理場を経由して,または直接河川へ流入することによって広く水域環境中に存在します。陰イオン界面活性剤は,直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS),α-オレフィンスルホン酸ナトリウム(AOS),アルキルエーテル硫酸エステルナトリウム(AES),アルキル硫酸エステルナトリウム(AS)などの種類がありますが,今日使用されているものの多くはLASです。このLASの分析については,従来より上水試験方法でHPLC法が取り入れられています。 ここでは,上水試験方法(2001年版)に準拠した分析条件によるイソシアヌル酸およびLASの分析例をご紹介します。
2008.06.21