色素の高純度精製による色素増感型太陽電池の性能向上

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はじめに

次世代の太陽電池として盛んに研究開発が進められている有機系太陽電池のうち,現在最も実用化に近いと言われるものに色素増感型太陽電池があります。色素増感型太陽電池は光によって励起された色素を利用して発電するシステムで,安価に製造できることが期待されていますが,現状では光電変換効率が十分でないことが実用化を妨げる主な原因となっています。 色素増感型太陽電池の心臓部分ともいえる有機色素にはいくつかの種類があります。多くの色素では異性体を含む不純物が混入することがあり,これら不純物の太陽電池性能に与える影響が懸念されます。従って,不純物の分析法や色素の高純度精製法が重要になってきています。例えば,現在主流となっているルテニウム錯体系化合物には,配位子であるイソチオシアネート基が逆転し,チオシアネート基となっている異性体が知られています。一例として,アプリケーションニュース No. C75では,LC-MSを用いたRu色素中の不純物分析をご紹介しました。 ここでは市販のN3色素に対し,HPLCを用いた高純度精製を行うことで,太陽電池の性能を向上させた例をご紹介します。

2011.07.24