環境
有機酸分析システムによるバイオマスの分析
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はじめに
世界のエネルギー消費量は年々増え続けており,特に新興国の経済発展と人口増加により堅調に増加しています。これに伴い,石油や石炭,天然ガスなど,化石燃料の需要が増加し,枯渇も危惧されています。また,環境負荷への影響も懸念され,代替燃料の開発が注目されています。 バイオマスは再生可能で地球上に広く存在し,カーボンニュートラルな資源です。間伐材や農業廃棄物等の有効利用は,環境・経済観点ともに利点があります。これらの未利用バイオマス資源からバイオエタノールを工業的に製造するには,バイオマス中のセルロースやヘミセルロースを糖化酵素を用いて分解し,グルコースやキシロースのような単糖にした後,酵母を働かせ,エタノールにします。 ここで,糖化酵素による分解を効率よく行うためにはバイオマスを酸やアルカリなどで前処理する必要があります。しかしながら,この前処理において,バイオマスを構成する成分からぎ酸,酢酸等の有機酸やフルフラール,ヒドロキシメチルフルフラール等のフラン化合物が副成し,これらが酵母による発酵を阻害します。 ここでは,有機酸分析システムと紫外可視吸光光度検出器を併用して,バイオマス中の酢酸,ぎ酸,フルフラール,5−ヒドロキシメチルフルフラールの同時分析の例をご紹介します。
2014.12.23