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はじめに

近年,琵琶湖や霞ヶ浦などの湖沼では富栄養化が進み,それにともなって「アオコ」と呼ばれる現象が生じて社会問題となっています。「アオコ」とは藍藻類が大発生して湖沼や池の表面に緑色の粉をふいたような状態を指します。 「アオコ」を形成する藍藻類の中には毒素を生産するものがあり,水質への影響が懸念されています。その毒素の代表的なものがミクロシスチンです。ミクロシスチンは肝臓毒であり,外国ではアオコの発生している湖沼の水を飲んだ家畜が死亡した事例もあります。 ミクロシスチンの構造はFig.1に示したようなものです。7つのアミノ酸からなる環状ペプチドで,結合しているアミノ酸の種類により50以上の種類があるといわれています。そのうち,日本の湖沼における代表的なものとしてミクロシスチンLR,YR,RRなどがあります。 ミクロシスチンの代表的な分析方法としては,HPLC法,TLC法,LC/MS法,ELISA法などが挙げられます。ここではもっとも一般的に使われているUV検出HPLCによる分析例を紹介します。

2008.06.02

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