環境
原子吸光法によるカルシウムの測定
はじめに
Caは自然界において大理石や石灰石などの炭酸塩,石膏(CaSO4),ホタル石(CaF2),リン灰石(Ca5(PO4)3F)等の様々な化合物として存在します。Caは銀白色の結晶で酸素やハロゲンと常温で反応します。また,水素や炭素,窒素,ケイ素,リンとは加熱することで結合します。Caは二価の化合物をつくり,その多くは白色を呈します。漂白剤やプールの滅菌剤として用いられるさらし粉(Ca(OCl)Cl),胃の制酸剤として有効なCaCO3やCa(OH)2など,Caには様々な用途があります。また,Caは70 Kgの成人では体内に約1 Kg存在し,その約99 %は骨中にヒドロキシアパタイトとして含まれ,筋肉に140~700 ppm,血中に約61 mg/dL含有します。Caは①骨の構成要素,②生体膜の安定化と透過性の維持,③筋肉の収縮等,体内で様々な機能を有します。例えば骨形成にはCaとリン酸が十分供給されることと血漿中のCa濃度を約10 mg/dLに維持することが必須です。成人一日当りのCa摂取量は600~1400 mgですが,血中のCa濃度が低下すると神経の興奮によって筋肉が収縮し痙攣が起こります。Caの欠乏症には,経口あるいは静脈注射でCaCl2が与えられます。一方,高カルシウム血症では尿毒症を伴って腎 臓の石灰化が引き起こされます。このようにCaの過不足は人体に多大な影響を及ぼすため,昨今,体内のCaバランスを保つ様々なサプリメントや機能性食品が開発販売されています。 今回はCaのフレーム分析における干渉とその対処法についてご紹介します。
2009.04.18