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ライフサイエンス
Alは地殻中にO,Siに次いで金属元素として最も多く存在し,長石や氷晶石,雲母等の鉱石に含まれます。工業的には溶融した氷晶石(Na3AlF6)中でボーキサイト(Al2O3やAl(OH)3と不純物を含む鉱石)から抽出したアルミナ(Al2O3)を炭素電極で分解した際に陰極に析出します。Alは銀白色の軽金属で柔らかく,加工が容易なため様々な分野に用いられます。酸化被膜付アルミニウムは耐腐食性,絶縁性に優れ,コンデンサに使用されます。酸化被膜には染色が可能なため装飾や建築などにも利用されています。ジュラルミン(Cu4%,Mg0.5%,Mn0.5%)などアルミ合金は軽量で強度があることから,建築,車両,航空機,機械部品等に用いられます。Zn同様,Alは両性金属であり,酸との反応ではAlCl3,Al(NO3)3などの三価の塩が形成され,塩基との反応ではアルミン酸塩(AlO2-を持つ化合物)を形成します。両性酸化物のAl2O3や両性水酸化物のAl(OH)3は水に不溶ですが,塩酸や水酸化ナトリウム溶液には可溶です。Al(OH)3は中性付近でコロイドとなり表面にイオンや汚れの成分を吸着して沈殿する性質があるため水の清澄剤に用いられています。また,胃酸を中和する制酸剤などの医薬品にも使用されます。胃潰瘍の治療薬であるスクラルファート(Alとショ糖の錯体)は胃や腸の粘膜の蛋白質と結合して患部を覆い保護するだけでなく,ペプシンなどと結合して,その作用を抑制する働きがあります。アルミナの天然結晶であるコランダムは,その硬さから金属やガラスなどの研磨剤として用いられます。また,宝石として青色コランダム(FeやTiの酸化物を含む)はサファイアに,赤色コランダム(Crの酸化物を含む)はルビーに加工されます。Alの塩類では化学肥料や染色等に使用される明礬(ミョウバン)があります。明礬は硫酸アルミニウムとアンモニウムやアルカリ金属の硫酸塩を混ぜて得られるMAl(SO4)2・12H2O型の複塩で,通常,明礬といえばMのところにKが占めるカリウムアルミニウム明礬を指します。 アルミニウムイオンは三価の鉄イオンと似た性質を持つため,鉄輸送蛋白質であるトランスフェリンと結合し易いことから体内にアルミニウムが過剰に入ると骨や筋肉に取り込まれ,沈着して骨の脆弱化や筋肉の萎縮硬化を,また,脳に蓄積し萎縮させアルツハイマー症を引き起こすと考えられています。 今回はAlのファーネス測定を例に,チューブの種類と干渉抑制剤の添加による感度向上の関係,チューブの選択についてご紹介します。
2006.01.05