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はじめに

ナフサやガソリンなどの石油製品は,多くの炭化水素系の異性体から成り立っています。これら石油製品の分析には溶融石英キャピラリカラム(FSキャピラリカラム)を用いたガスクロマトグラフィが用いられています。 炭化水素の場合,炭素数が多くなるにしたがって異性体が多くなり,そのうえ,パラフィン,ナフテン,オレフィン,アロマティックと二重結合や,環状の構造のものも含まれることから検出されたピークの定性はGC/MSが不可欠となっています。パラフィンやオレフィン化合物などの鎖状化合物のマススペクトルは,フラグメントイオンのパターンが異なって現れるので定性が容易になります。一方,アロマティク化合物のようにベンゼン環に側鎖のアルキル基がついたキシレン異性体のような場合には,ガスクロマトグラフでは分離しますが,m-,p-,o-,のマススペクトルはほとんど変化がありません。 このことからできるだけ高い分離能をしめすガスクロマトグラムを得るとともに,高い感度でマススペクトルを測定できることがGC/MSが有効に活用できるきめてにになります。FSキャピラリカラム専用のGCと小型の四重極質量分析計を組合わせたGCMS-QP2000は,この分析に最も適したGC/MSといえます。さらに内蔵するデータ処理装置により測定データは全て処理されます。ここに紹介するガソリンの分析は,このGCMS-P2000で測定したものです。

2021.03.28

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