固相マイクロ抽出(SPME)-GC-MS法を用いたカビ臭分析

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はじめに

日本の水道水の安全性は定評があります。しかし,ダム,湖沼や河川等の表流水を水源とする水道では夏場などにカビ臭が問題となり,その対策として活性炭投入が行われています。カビ臭の原因物質は藍藻類または放線菌によって産出される2-メチルイソボルネオール(2-MIB)とジェオスミン(Geosmin)です。これらの臭気閾値は数ng/Lレベルと非常に低い濃度であるため,前処理での濃縮が重要です。上水試験方法では固相抽出-GC/MS法とパージ&トラップ-GC/MSが測定方法として採用されていました。また,平成13年には新たにヘッドスペース-GC/MS法が追加されました(アプリケーションニュースM204)。しかし,固相抽出-GC/MS法は抽出操作が煩雑で処理時間も長く,多量の有機溶媒を使用しなければならないといった問題があります。また,パージ&トラップ-GC/MS法はシステムが高価であり,機器メンテナンスも困難であるといった問題があります。 固相マイクロ抽出法(SPME)は,液体や固体試料のヘッドスペースから有機化合物を抽出・濃縮し,ガスクロマトグラフの気化室で熱脱離し,カラムに導入することができる試料前処理法です。従来の固相抽出で必要な有機溶媒を使用することもなく,また操作も容易かつ自動化も可能であることから,注目されている前処理方法です。 今回のアプリケーションニュースでは,カビ臭測定にSPME-GC/MS法を適用しその有効性について検討しましたのでその結果について報告します。

2008.04.22

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