GCMSによる魚,海水中の有機スズ(TBT,TPT)の分析

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はじめに

トリブチルスズ(TBT),トリフェニルスズ(TPT)等の有機スズは船舶や漁網の防汚塗料として広く用いられています。この TBT,TPT は環境中および魚介類などへの汚染が広がっており,魚介類の蓄積が問題視されています。 従来,これらの化合物の測定には GC-FPD を用いて行われてきました。ここでは定性精度の高い GC/MS を用いた分析例をご紹介します。 また,内部標準法は試料からの回収率,注入誤差等の補正を行うためによく用いられています。GC 測定にはトリペンチルスズ(TPeT)を用いますが, TBT,TPT,TPeT の回収率がそれぞれ異なるため,あまり良好な内部標準物質とはいえません。そこで今回は GC/MS の特性をいかした重水素ラベル化(d ラベル化)化合物を内部標準物質に用いました。 この d ラベル化内部標準物質の特徴は物性的には目的化合物と同様で,しかも試料中にはまったくなく,理想的な内部標準物質といえます。

2008.04.22

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