工業材料・マテリアル
発生ガス分析法(EGA)とダブルショット法を用いた熱分解GCMSによるポリマーの分析
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はじめに
昇温可能な熱分解装置ダブルショットパイロライザー(PY-2020D:フロンティア・ラボ社製)とガスクロマトグラフ質量分析計(GCMS-QP5050A)を用いることにより,発生ガス分析法(Evolved Gas Analysis : EGA)やダブルショット分析法(多段階熱分解法)といった熱分解の分析法を行うことが可能です。 発生ガス分析法は熱分解装置の出口とMSとを金属製不活性キャピラリー管で直結し,試料の昇温加熱により発生する成分をオンラインで分析する方法です。この方法では熱重量分析法(TG)と同様な発生ガス曲線を得ることができます。そのデータから試料構成成分の知見を得て,分析対象とする成分の温度画分の設定を明確に判断することができます。 ダブルショット分析法はまず低温(通常100~300℃)で熱脱着法により,ポリマー中の各種添加剤や残留溶媒等の揮発成分の分析を行います。引き続いて残っている基質ポリマーを熱分解します。この段階的加熱により溶媒が含まれているポリマーや分解温度の異なるポリマーの混合物について,それぞれを分離して分析を行うことができます。 今回は,酢酸ビニル系接着剤を,発生ガス分析法とダブルショット分析法を用いて,より細かく分析を行いました。
2008.04.22