概要

法科学は科学的手法を用いて犯罪捜査における事件の解決のための証拠分析を行う分野です。薬毒物の検査から遺留品の異同識別など様々な分析機器を駆使した分析が行われています。

薬毒物同定

薬毒物同定

近年、危険ドラッグ、大麻リキッドやデザイナーズベンゾジアゼピンなど化学構造を一部改変した新規の薬物が流布しており、国内外で薬物のトレンドが多様化しています。これらの薬毒物の構造推定や同定にはNMRや質量分析計が用いられます。

薬毒物スクリーニング

薬毒物スクリーニング

覚せい剤・麻薬・向精神薬などの乱用、犯罪目的での薬物接種事件や自殺目的での過剰摂取に伴う中毒事故は、大きな社会問題となっています。
薬物分析は迅速性が求められるため、警察や法医学者に結果をタイムリーに提供できるシステムが要求されています。
生体試料中の薬毒物の分析は、広範囲な薬毒物を生体試料中の成分の影響を受けずに検出することが重要であり、質量分離に優れたGC-MSやLC-MSなどの質量分析計が利用されています。

アルコール・揮発性毒物

アルコール・揮発性毒物

血液中のアルコールの測定は、飲酒運転の証明、法的責任能力の判断や急性アルコール中毒の治療などに利用されています。また、シアン化物やアジ化物などの揮発性毒物はしばしば犯罪目的で利用されるケースがあることから、毒物接種の証明のため測定されます。これらの検査は、主にガスクロマトグラフまたはGC-MSを用いて分析されます。前処理装置のヘッドスペースサンプラを組み合わせて利用されるケースも多いです。

異物解析

異物解析

犯罪現場での遺留物を特定するために、多種多様にわたる試料の異同識別が行われます。これらの検査には、様々な分析機器を用いて多角的に評価していきます。異物は微小なものも多く、大きさや状態、付着した成分に応じて適した分析装置を選択して分析する必要があります。