水道水の重金属一斉分析:ICPMS-2030

誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS法)は,水道水質基準項目の金属類の分析方法として用いられています。島津製作所は2016年3月にICP-MSの新製品としてICP質量分析計ICPMS-2030の販売を開始しました。本装置は測定感度,ランニングコスト等に優れた装置です。この度,当社は岸和田市上下水道局様との産官連携研究として,実際のフィールドでの水道水試験を通した実証測定,浄水処理工程の薬剤の投入効果の検討,原子吸光からICP-MSへの更新検討とその評価を目的とした共同研究を,2016年10月から実施しています。
本装置をご使用いただいている岸和田市上下水道局浄水課の上田様,髙﨑様にICPMS-2030の感想などについてお話を伺いました。

 

今回のCustomer

岸和田市上下水道局

岸和田市上下水道局 浄水課
上田 亮 様(写真右)
髙﨑 一哉 様(写真左)

※掲載内容(所属団体,役職名等)は取材時のものです。

岸和田市上下水道局様 Webサイト

インタビュー

水道水質の分析装置として,こちらではどのような機器をお使いでしょうか?

本市では,水道水質基準51項目や,それに準じた水質管理目標設定項目の分析を行っています。その検査機器として,ガスクロマトグラフ質量分析計,高速液体クロマトグラフ,イオンクロマトグラフ,原子吸光光度計,水銀測定装置,全有機炭素定量装置,色濁度計などを使用しています。

 

 

水道水中の金属元素の分析において,留意されていることはありますか?

分析操作の基本ですが,酸使用対策として,保護具の使用及び換気,酸添加による溶解と分散,試験操作でのコンタミネーション,容器からの溶出や保存中の吸着と飛散,機器導入ラインでの測定の安定化などに留意しています。

当社のICPMS-2030をご使用いただいておりますが,ご使用されてのご感想はいかがでしょうか?

水道水質基準値・水質管理目標値の1/10以下の感度が十分に得られ,妥当性評価においても良好な真度・併行精度・室内精度が得られています。多元素一斉分析が可能であり,原子吸光で測定を行うと1週間以上要していた毎月の水質検査業務を1日で終えることが出来ています。

ソフトウェアについては,雛形ファイルを作成しておけば,簡単な操作でプラズマ点灯,自動校正,自動測定,自動保存およびプラズマ消灯まで行えます。自動保存しておけば,再測定を行っても誤って前のデータを上書きして消去してしまう心配がありません。

アルゴンガス消費量は原子吸光(電気加熱,フレーム両用機)で測定していた時とさほど変わりません。電気代や消耗品についても原子吸光に比べて稼働時間が短い分,コストパフォーマンスの面で優れていると思います。

ICPMS-2030はコンパクトで,デザインもシンプルなところが良いですね。
サイクロンチャンバからトーチ,サンプリングコーンやスキマーコーンの取付け・取外しが容易に出来ると感じます。半年間使用しましたが,トーチの洗浄など特にメンテナンスフリーであることが良かったと思います。

今後のICP-MSに期待されることは機能・性能としてはどのようなものが必要とお考えですか?

水道水質基準は世界保健機関(WHO)の飲料水水質ガイドラインなど最新の科学的知見に照らし,厚生科学審議会生活環境水道部会において審議され,項目追加・基準値改正が行われます。項目追加・基準値改正に対応できるよう,今後のICP-MSの機能・性能の維持向上に期待します。また,現在のICP-MS技術開発として,この感度を維持しつつ,更なるコンパクト化とアルゴンガス使用量低減が考えられます。

最後に,装置や当社へのご意見,ご要望がありましたらお聞かせください。

分析装置を使用する検査機関としては,万全なメンテナンスサポート体制を維持していただければとても安心です。今後ともよろしくお願いします。

本日は貴重なお話をどうもありがとうございました。

インタビュアーコメント

ICPMS-2030

水道水質基準の金属項目については測定項目が多項目にわたることから,一斉分析が可能で,微量な元素までを分析できるICP-MS法は有効な測定方法です。ICPMS-2030は,お客様が「シンプルな操作」で,「精度の高い測定結果」を得られ,さらに「ランニングコストを低減できる」装置として開発しました。これからもお客様にご意見をいただき,よりよい装置の開発を行っていきます。

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