図1にqLD法で用いる光学系を示します。これは,従来のLD法で用いられるものと共通です。
液中に分散した粒子群を投入したセルにレーザ光を照射すると , 粒子群から散乱光が発せられます。前方(散乱角度で60度まで)の散乱光はレンズで集光し , 同心円状にセンサ素子が配置されたWingセンサを用いて , 散乱角度に依存して変化する散乱光を検出します。図に示すようにWingセンサのWing部で検出される散乱光強度を個々の素子の面積比率を考慮して補正してやれば , 全体が同心円状のセンサで検出した場合と等価の情報が得られます。
さらに側方および後方の散乱光もそれぞれのセンサ素子で検出します。このようにして,散乱角度に依存した散乱光強度の変化を光強度分布データとして検出し,そのパターンから粒子径分布を計算するのがLD法です。
粒子径分布は全く同じで,濃度だけが異なるA,Bの2種類のサンプルを測定した場合,図2に示すように,散乱角度に依存して変化するパターンは同じで,強度は濃度に比例する光強度分布データが得られます。
図2 散乱光強度分布データ
この2つの光強度分布データを従来のLD法で処理すると , Fig.3(a)に示すように粒子量の合計を100%とする全く同じ粒子径分布が求められます。
図3 相対粒子量を濃度に変換
ここで , 光強度は濃度に比例することから , 濃度の違いを考慮すれば , (b)図に示す粒子径分布が得られ(粒子量の単位は不明) , さらに , 濃度が既知の標準粒子の散乱光強度で校正を行なえば , 個数濃度(個/mL)または体積濃度(μL/mL)としての粒子径分布が求められます。
この校正には , 測定対象と同じ屈折率を有する標準粒子を用いる必要がありますが , 通常そのような標準粒子が存在しないので , 濃度が既知のPSL粒子から検出される散乱光強度に対して , Mie散乱理論に基づいて , 測定対象と同じ屈折率の場合の散乱光強度を算出し , それを用いて校正を行います。
従来のLD法の特長は測定範囲が広いことでですが , qLD法では , 定量測定の正確さを担保するために , ある程度測定範囲を限定し , その中心付近の粒子径に該当するPSL粒子で校正を行った方がよいと考えられます。
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