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LCtalk特集号「移動相の脱気」

5-2)アスピレータを用いた減圧脱気

本法も,基本的には余分な溶存空気を手早く除くために用いられます。

<操作>
移動相ビン口にアスピレータを取り付け,ビンを超音波洗浄器で振動するか,移動相をかくはんしながら,吸引し脱気する。 小さな泡が勢いよく出なくなれば終了。 吸引し過ぎると,大きな泡が発生するが,これは移動相の沸騰である。 アスピレータでの吸引中は,接液気体が移動相蒸気となる(=空気の分圧が0に近くなる)ため,溶存空気が飽和溶解量より低いレベルへ脱気されやすくなります。 一方,ビンをポンプ入口部へ設置すると,接液気体は徐々に空気に置換されるため,空気の再溶解が始まります。 また,吸引時に移動相蒸発の気化熱がうばわれ冷えやすいため,この場合にはポンプ入口部へ設置後に液温上昇すると共に,前述とは逆に飽和溶解量減少も,起こりやすくなります。 
アスピレータを用いた脱気
図22 アスピレータを用いた脱気
長所
短時間の操作で脱気できる。 
<短所>
減圧にし過ぎると溶媒組成が変化する。 
屈折計や一部のUV検出などでベースラインドリフトしやすい。 
<用途>
通常感度のUV,蛍光検出。 ただし,カラムオーブン・検出器セル加温や高圧グラジエントの場合は,検出器に背圧が必要。 
液温変化・溶媒組成変化が起こりやすいので高精度分析には不向き。 
移動相溶媒が水だけの電気伝導度検出,電気化学検出の場合は,飽和溶解量以下への過剰な脱気をすることにより,数時間分析が可能となる。 

補足キーワード:アスピレ-ター,Aspirator,吸引器