ガラスの打ち抜き試験における破壊観察

はじめに

ガラスは紀元前から使用され、今日では窓や食器など生活に欠かせないものとなっています。また、最近ではスマートフォンやタブレットなどの電子機器にも利用されています。このように幅広く使用されているガラスですが、その破壊現象は非常に早く目視で確認することができません。今回は、高速衝撃試験機を用いてスライドガラスの打ち抜き試験を行い、そのときの破壊の様子を高速度ビデオカメラで撮影しました。

測定・治具など

Fig.1試験の様子

打ち抜き試験には、高速パンクチャー衝撃試験機を用いています。Fig.1に試験の様子を示します。Fig.1のストライカでスライドガラスを打ち抜いたときの様子を高速度ビデオカメラで撮影しました。撮影時の照明はストロボを用い,スライドガラスの亀裂を見やすくするためにスライドガラスの上側に白い紙を置いています。また、打撃面の裏側の画像を得るため試料下部に鏡を配置し鏡像を撮影しています。 試験条件・撮影条件をTable 1に示します。

Table 1 試験条件・撮影条件

項目 設定値
撮影速度 500 万コマ/s
試験速度 3 m/s
ロードセル容量 10 kN

 

撮影結果

Fig.2 試験結果1


 

 

Fig.3 試験結果2

Fig.2はストライカがガラスに当たった直後の画像を、Fig.3はその後さらにガラスに亀裂が入っていく様子を示しています。Fig.2とFig.3は同一の試験片の結果ではありません。高速パンクチャー衝撃試験機では、打ち抜き時の最大試験力や破壊エネルギーなどを求めることもできます。
 

 

ガラスの打ち抜き試験における破壊観察

高速度ビデオカメラ HPV-X
照明 ストロボ
レンズ 105mmマクロレンズ,テレコンバータ×2
試験機 HITS-P10
ストライカ ストライカφ10
試験機ソフト 高速衝撃試験ソフトウェア
その他 周辺機器・ケーブル等


 

高速度ビデオカメラ HPV-X

高速度ビデオカメラ HPV-X

最高1000 万コマ/s の超高速連続撮影
当社独自の高速CMOSイメージセンサ「FTCMOS」を搭載。世界最高クラス1000 万コマ/s の超高速連続撮影を実現。

撮影枚数の増加
記憶容量を増加させ、撮影枚数を256枚にアップしました(HPモード時)。これにより超高速撮影時でも瞬間的な現象を取り逃すことがありません。

最高速度で高解像度撮影が可能
従来型高速度ビデオカメラは、撮影速度が上がるに従って解像度が低下します。HPV-Xでは撮影速度に関わらず、最高解像度400×250ピクセルの動画撮影が行えるため、超高速現象の詳細解析が可能です(FPモード時)。

超高速撮影に最適化した使いやすいソフトウェア
Windows 7 に対応した制御ソフトウェアにより、簡単な設定ですぐに超高速撮影が開始できます。
撮影した画像は AVI、BMP、JPEG、TIFF16等の汎用フォーマットで保存できます。

高速パンクチャー衝撃試験機 HITS-P10

高速パンクチャー衝撃試験機 HITS-P10

高精度ロードセルを採用
100%レンジでは、レンジフルスケールの±0.5%以内、50、20%レンジでは,レンジフルスケールの±1%以内の高精度速度ロードセルを採用。

試験範囲
1~20m/sの広範囲で試験可能です。

高速サンプリング
最高1μsの高速サンプリングで、高速衝撃試験に対応しています。

(*) HITS-P10は、製造終了となりました。
後継機種は、HITS-X シリーズ になります。