メチル化カテキンの分析(LC/MS)

最近,お茶葉の品種として注目されているものとして日本の紅茶種「べにふうき」があります。「べにふうき」は,発酵させず緑茶として製作することによって,メチル化カテキンを豊富に含みます。また,お茶の旨味成分であるアミノ酸成分テアニンも豊富です。メチル化カテキンは花粉症に効果があるといわれています。
べにふうき茶葉から抽出したカテキン類をLC/MSで分析しました。
「べにふうき」茶葉と一般の市販茶葉5gをそれぞれ100mLの熱湯で抽出処理し(抽出時間30分),精製水で10倍に希釈, メンブランフィルター(孔径0.45μm)でろ過しました。
(a)のべにふうき茶葉抽出液には(b)の市販茶葉抽出液には検出されない,ピーク8:エピガロカテキンガレートのメチル化体したカテキンとピーク11:エピカテキンガレートがメチル化したカテキンが豊富に含まれていることがわかります。
 

茶葉抽出液中カテキン類のSIMクロマトグラム
 

べにふうき茶葉に主に含まれるメチル化カテキンの構造式

LCMS-2020

液体クロマトグラフ質量分析計

高速液体クロマトグラフ(HPLC)と質量分析計(MS:マス)が一体化した分析装置です。試料をLC部のカラムと呼ばれる分離管に通すことで,化合物を分離して複数のピークとして出現させます。MS部では質量スペクトルを測定することにより,その分離されたピークがどのような分子量であるかを確認することができます。そしてピークの面積を標準物質と比較することにより定量を行うことができます。GC/MSでは不得意な成分である難揮発性あるいは熱不安定な化合物の分析が可能です。